土偶伝説
~Final~
 いつからだろう……。

 そうだ! あの日からかもしれない。コックリさんをしたあの日から、皆の態度がおかしいような気がする。気のせいでは片付けられない数々の違和感。それは授業中であり、休み時間でもある。俺と一番仲が良い池田さえも、始終無口で表情が暗い。いつものように話しかけてくることもなく、目を合わすこともしない。最低限の返事だけだ。


 ――休み時間、俺はキョロキョロと教室を見渡していた。クラスメートは全員、誰一人会話することなく、席に着いたまま、それはまるでお通夜みたいに。

 あまりの静けさが俺の不安に拍車をかけた。


「里中、今日の放課後、コックリさんとは少し違うことなんだけれど、皆でやろうって決まったから」


 いつの間に隣に来たのだろうか、土偶が薄笑いを浮かべて云う。
 俺は金縛りにあったかのように背筋が凍りつき、息を呑む。

 コックリさんとは少し違うことって、一体何するんだ? そういう類の遊びをやりたいなんて、あんなことがあったのに皆思うだろうか。俺はもうやりたくない。

 けれども俺が返事をする前に、土偶は踵を返していた。

 どうなってるんだ? 池田もリカ達も、放課後の話しなんて一切してるようには見えない。

 


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