TVから訪れた春
あたしが、校内を出たときだった。
『花崎っっ!』
1人の男子があたしの名前を呼んだ。
肩をつかまれる。
「え?」
『やっと追いついた。』
その人は同じクラスの”南城 龍”だった。
「龍くん。どうしたの?」
荒い息づかい。走ってきたのかな。
心臓が少しドキドキした。
『あ、あのさ。』
「?」
『一緒に帰ってもいいかな?』
まさか、そんな事を言われるとは思ってなかったので、
少し戸惑った。
けれど、
「うん。いいよ。」
って言ってしまった。

『ありがとう。』
爽やかな笑顔。
確か、龍くんは格好好いって噂で校内でも人気あるんだよな。
そんな事を思いながら、会話の内容も見つからずに歩いていた。
龍くんが突然止まった。
「どうしたの?」
呼吸が整ってきたのか、少し、深呼吸をして、
『花崎。』
「なぁに?」
『あのさ。”さくら”って呼んでもいいか?』
「うん。全然いいよ。どうしたの?急に。」
『・・・。』
黙り込んでしまった。
「とりあえず、歩こう?」
『おぅ。』
夕日に顔が火照っているのか、少し赤面してるようだった。
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