TVから訪れた春
夏祭り当日。
結局、あの浴衣を着て行かなければならなくなった。
待ち合わせ時刻は夕方の5時丁度。
好きでもない男子と行くのだが、人目に出る場所なんで気合を入れてメイクする。
1時間30分前から、時間をかけて、念入りにメイクする。
浴衣を着て、待ち合わせ場所へと急ぐ。
そこにはまだ5分前なのにすでに龍くんが居た。
「ごめん。待った??」
『うぅん。全然。喜びすぎて早く来すぎた。』
そういって無邪気に笑って見せる彼。
「・・・。」
『行くか。』
気まずい。
ここまで気まずくなるとは予想外だった。
人が多くなってきた。
彼との距離が開いていく。
「龍く・・・。」
手を握ろうとした。けれど、届かなかった。
人の波に飲まれてしまう。
『さくら!』
彼は名前を呼んで、手を伸ばしてくれた。
手を握り返す。
「あ、ありがとう・・・。」
『おぅ。最初から、手握ってればよかったな。』
「・・・。」
彼は赤面して、空を仰ぐ。
『なんか、腹減ったな。』
「うん。」
『食いたいものある??』
「え。」
『遠慮すんなよ。俺から誘ったデートなんだから。
少しくらい格好つけさせろよ。奢るよ。』
「うん。ありがとう。」
『何がいい?』
お祭りで食べたいもの。
それはあたしが前から好きだったもの。
「綿、綿飴…。」
『綿飴か、距離結構遠いな。
歩かせるのも悪いし、待っててよ。』
1人にされるのは恐かった。
「やだ。一緒に行きたい。」
『・・・。はぐれんなよ。』
あたしの我侭に怒ったのかな?
彼はそう言うと、歩いていってしまった。
手を繋ごうと思った。
けど、ためらった。
その瞬間、人の波に飲まれ彼とはぐれてしまった。
結局、あの浴衣を着て行かなければならなくなった。
待ち合わせ時刻は夕方の5時丁度。
好きでもない男子と行くのだが、人目に出る場所なんで気合を入れてメイクする。
1時間30分前から、時間をかけて、念入りにメイクする。
浴衣を着て、待ち合わせ場所へと急ぐ。
そこにはまだ5分前なのにすでに龍くんが居た。
「ごめん。待った??」
『うぅん。全然。喜びすぎて早く来すぎた。』
そういって無邪気に笑って見せる彼。
「・・・。」
『行くか。』
気まずい。
ここまで気まずくなるとは予想外だった。
人が多くなってきた。
彼との距離が開いていく。
「龍く・・・。」
手を握ろうとした。けれど、届かなかった。
人の波に飲まれてしまう。
『さくら!』
彼は名前を呼んで、手を伸ばしてくれた。
手を握り返す。
「あ、ありがとう・・・。」
『おぅ。最初から、手握ってればよかったな。』
「・・・。」
彼は赤面して、空を仰ぐ。
『なんか、腹減ったな。』
「うん。」
『食いたいものある??』
「え。」
『遠慮すんなよ。俺から誘ったデートなんだから。
少しくらい格好つけさせろよ。奢るよ。』
「うん。ありがとう。」
『何がいい?』
お祭りで食べたいもの。
それはあたしが前から好きだったもの。
「綿、綿飴…。」
『綿飴か、距離結構遠いな。
歩かせるのも悪いし、待っててよ。』
1人にされるのは恐かった。
「やだ。一緒に行きたい。」
『・・・。はぐれんなよ。』
あたしの我侭に怒ったのかな?
彼はそう言うと、歩いていってしまった。
手を繋ごうと思った。
けど、ためらった。
その瞬間、人の波に飲まれ彼とはぐれてしまった。