忘れたくない



そんな雪沢の言葉なんか関係なしに
俺はピアノの椅子に座っている雪沢に歩みよった



雪沢は椅子から立つと
壁へ壁へと後退りした





俺は冷たく言い放った

「この第二音楽室は完全防音だから
助けは求められない」








雪沢の後ろは壁で
これ以上俺から逃げられない





俺は雪沢の顔の横の
壁に手をつき
雪沢を見つめた...



雪沢は恐怖のあまり
目は涙目になり
震えていた



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