サクラノコエ
「ずっと、ずっと、ちゃんと話そうと思ったの。だけど、どうしても言えなくて……話したら怖がられると思ったから」

しゃくり上げながらも、一生懸命に話をする理紗の姿に俺は切なさを覚えていた。

同じ内容の話を、同じ姿をしたルミやボクさんから聞いたときとは全く違う感情。

理紗はちゃんと存在している。

子供みたいに純粋で。

人なつっこくて。

感情がとてもストレートで。

少しのことを喜んで。

すぐ真っ赤になって怒ったり、笑ったり。

「ずっといたかったの。悠人くんの傍に……」

俺のことを、とても慕ってくれている。

俺の……理紗。
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