サクラノコエ
一人で待ってるのが嫌だったのか?

俺、馬鹿だ。

あの匂いがついた服でもいいから、着替えさせて一緒に買い物に行くべきだった。

俺が我慢すればよかったことだったのに。

理紗を一人になんかしなければよかった。


あ…れ?


ふと何気なく見上げた窓ガラスに、先ほどは気づかなかった線のような指跡が部屋の照明の加減でうっすらと浮かんで見えた。


文字?


再び腰を上げ、目を細めながら色々角度を変えてよく見てみる。
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