サクラノコエ
『今、学校終わった! すげぇ眠ぃ』

『ちゃんと帰れる?(笑)』

ケータイでも絵文字が使われない、文字だけのメール。

このあいだ理紗に絵文字の入れ方を教えてみたのだが、どうも上手く行かないらしい。

『ダメだ……俺、道ばたで寝るかも』

『え~! そんなのダメだよ~(汗)』

理紗がケータイを持ったことは、単純に嬉しかった。

理紗の言うように俺たちの距離が今まで以上に縮まると思っていたからだ。



――けれども
現実は俺たちの思うように進んではくれなかった。

< 408 / 454 >

この作品をシェア

pagetop