君を想うと~triangle love~
「好きだよ、高宮。」




耳もとで聞こえる桐谷慎の甘い声。







私は桐谷慎に後ろから抱きしめられる形になって。

ベッドにゴロンと横になっていた。









ドクン、ドクン







桐谷慎の鼓動が背中ごしに伝わってくる。




変だけど。

こんなの考えるの変だけど。








ああ、桐谷慎も生きてるんだと思うと何故だかホッとした。









「高宮は?俺のコト好き?」


「う~ん…。普通に??」










嘘でも“好き”って言わなきゃいけない場面だったのはわかってる。



きっとこれがしゅーちゃんだったなら嘘でも“好きだよ”って言ったと思う。





だけど…桐谷慎は違う。








桐谷慎はそんな私の陳腐なウソなんて全てお見通し。

エスパーみたいに鋭いカンの持ち主だから、私のウソなんてすぐ見抜いちゃう。








それなら…


素直に言うべきだと思ったの。








「ひどいね、高宮は。」



はぁーと深く深くため息をつく桐谷慎に




「だって、部長はウソつきは嫌いでしょ?」



と呟くと。

桐谷慎はアハハと大声で笑う。








「よくわかってんねー、高宮は。」

「はい??」








なんだかその言葉の端々から何とも言えない冷たさを感じて。
フッと後ろを振り返ると






「当たり前でしょ?
そんなつまんない女、こっちから願い下げだよ。」








と。

桐谷慎は冷たい笑顔を振り撒きながら。

そんな悪魔な言葉を口にした。
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