ユビサキからあなたへ
#1:小坂洋介の章

シツレン

『今電話してもいい?』




突然届いた一行しかないメール。
絵文字も顔文字も一切ない。

恵からだ。


俺は思わず唾を飲み、右手に握ったままの箸を置いた。

全身の血の気が引いていくのがわかる。

今まで感じたことのない感情がどこからともなくこみあげてきた。

“胸がざわつく”とはこういうことか。

意味もなく深呼吸をしたくなる。



直感した。





―フラれる…。
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