未来から来たころしやさん

5.An encounter

と、いう訳だ。未だ恐怖で目も開けられない僕に、冷たい言葉が降り注ぐ
「おい」
そういえば、刃物の冷たい感触がしない………。恐る恐る目を開けると、黒いブーツが僕の目の前にあった。そして、朝出会った少女がそこにいた
「君は…………?」
冷たい眼差しでジロリ、と睨む少女は、ゆっくりとブーツを降ろした。よく見ると、あの巨大な鋏は僕の近くの壁にめり込んでいた
「誰よ、貴女?」
「誰……?」
ふわり、とスカートが靡く。その少女は朝、僕と会った時と変わらない瞳で対面する少女を見る
「お前に名乗る名など無い」
そう言って僕と白いメイド服を着た少女の間に割り込むようにして、その少女は僕に背を向けた。僕より小さな少女のはずなのに、彼女の背中はかなり大きく見えた
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