輪廻怨縛
記憶[真里(門倉麻里愛の前世)]










テレビを見ながら爆笑している麻里愛に、一本の電話がかかってきた。


携帯電話の画面をずらすと、暗かった画面に画像が映る。


【河山寿春】


確か、麻里愛の兄嫁で、霊能者かなんかだった筈だ。


あたいの時代に陰陽師とか呼ばれていた連中に近い型式の儀式を行っているようだ。


それにしても、この時代は訳の解らない横文字が多くて困る。
まあ、麻里愛と知識を共有しているから致命的にちんぷんかんぷんだといいことはないのだが。
取り敢えず出ていい電話だと思うし、素通りする。


「どうしたの!? 珍しいねぇ」


本当に珍しい。
彼女から電話がかかってきたのは、秋の心霊特番以来だ。


『あのね、まーちゃんの同僚にさ、柳瀬香織ってコいるじゃない』


《柳瀬香織……。……、大村……、千夏のことか……》


あたいを騙した女……。あたいを殺した女……。


まさか現世を同じ時期に同じ空間で過ごすことになるとは思わなかった……。


あの女はほっといても誰かが殺してくれると思っているからこそ、麻里愛が人殺しにならずに済んでいるのだ。
あいつを誰も祟っていなければ、あたいが、否、あたいの遺志を継ぐ麻里愛が、とっくの昔に手を下している。
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