Parting tears
第六話 過去の傷
 私の恋愛観、その全てを百八十度変えてしまった出来事があった。

 ――十六歳、高校一年生の時、私は本気で始めて人を好きになったことがあり、その彼と付き合っていた。その頃の私は純で、何も疑うこともせず、目の前のことだけを素直に信じられた。彼と付き合っている時は、他の男性と会うこともせず、誰かの告白に対しても全てきちんと断り、彼だけに心は向いていた。二股や浮気をすることなど、その頃の私には考えられなかったのだから。彼以外の男性と付き合うことも……。

 しかし、十七歳の時に全てが壊れた。

 彼は私を愛していたわけではなく、本当は私の友達が好きで、裏で彼と親友は付き合っていたのである。それでも、私は彼に会えるだけで幸せだと思っていたし、気付かない振りまでしていた。その頃の私はそれだけ一途だったのかもしれない。


 そんなある日、私は彼と学校近くの公園で会っていた。そこへ突然、酒に酔っているチンピラ風の男が絡んできて、彼はどうするのかと思ったら、私をチンピラの前に突き飛ばし、自分だけ逃げたのである。彼の逃げる後ろ姿を見ながら、呆然とした私はチンピラに殴られた。顔の痛みより、心の方が痛くて仕方なかった。

 幸い警察の巡回が来て、助けられたのだが、私は呆然としたままだったのである。帰りの電車にどうやって乗ったのか記憶は曖昧だが、家に着いた時は涙が止まらなかったのを覚えている。

 次の日、学校に行くと、彼氏は謝るどころか私を避け、親友と目の前でいちゃいちゃしていた。私は愕然とし、音をたてて崩れていくものを感じた。

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