午前0時のシンデレラ

池田と同じように、独りが嫌だったあたしにとって、柳はいい遊び相手だった。


遊び相手っていうか…いじり相手?


「ふーん。俺も召し使い雇うかな」


何か考えるようにそう言った池田に、あたしは賛成の声を上げる。


「何でもやってくれるから、意外と楽よ。鬱陶しいけど」


「…ていうか俺、召し使いじゃないんですけど」


「一緒でしょ?世話係も召し使いも下僕も」


「いやいやいや」


柳は全力で否定すると、池田に話しかけた。


「お嬢様の相手って疲れませんでした?」


「あ?あー…まぁ、口悪いしな」



「ちょっと。あたしが何ですって?」


舞踏会の演奏は、いつの間にか終わっていた。


けど人々は、まだ楽しそうに話し続けている。



ここにいる人たちはみんな、心に何か抱えているのかな…なんて。


違った見方ができるようになったのは、きっと。



―――――柳の、おかげだよ。



…たぶん、ね?



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