午前0時のシンデレラ

あたしの態度に、柳は面白くなさそうに顔をしかめた。


「何だよ、俺がそのガラスの靴を拾ってやろうとしてるんだぞ?」


「結構です。柳が王子様なんて死んでも嫌」


迷わず答えたあたしに、柳は苦笑した。


「俺にしか、その役は務まらないって思ったけど?」


「自惚れないで。あんたはせいぜい魔法使いで十分よ」


…もう、魔法をたくさんかけられてるんだから。


心の中でそう付け加え、あたしは改めて柳を見る。


「…っていうか、結局あんたのことよく分からなかったんだけど!」


気付けばあたしの話ばっかりで、知られたくなかった心の闇まで見透かされて。


なのに柳のことは何も分からないなんて、ずるすぎる。


あたしの文句に、柳はしれっと言い放った。


「俺はせいぜい魔法使いなんだろ?魔法使いのことなんか、シンデレラは知る必要はない」


「………」


あたしよりも、柳の方がいじっぱりでしょ。


< 120 / 200 >

この作品をシェア

pagetop