午前0時のシンデレラ
ふと、夜中の出来事が記憶に蘇る。
『―――聞いてた通り、やんちゃなお嬢様だ』
あのとき、あたしを待ち伏せていたのは間違いなく柳で。
あたしが口を開く前に、「また後で」とか言っていなくなった。
…で、朝になったらこの状況。
夢かと思ってたのに、最悪なこの現実。
「…パパ。こいつクビにして」
「おいおい、咲良…」
「だってあたしのこと猫扱いした!!」
しかも気性荒いって!
初対面なのに、失礼にもほどがあるでしょ!?
下手したら仕事がなくなるかもしれないっていうのに、柳は相変わらず笑っていた。
その余裕が、余計に頭にくる。
「お嬢様。なら一ヶ月、僕に時間をください」
「何言っ…」
「その間に、お嬢様に気に入ってもらいます」
…本当に、笑顔で何を言ってるんだこの男は。