大好きな君にエールを
「…荒ちゃん?」
「だって俺、予選では少ししか試合に出てないんだぞ?それに…こんな形で甲子園に出れても、嬉しくないし喜べない。やっぱり実力でキャッチャーになりたかった」
実力でシゲさんのポジションを奪ったわけじゃない。譲り受けたようなモンだから喜べないんだ。
「でも…もし本当に荒ちゃんに託されたら、そんな言い訳も通用しないんじゃない?」
「…どーゆー意味だよ」
「実力だの嬉しくないだの言ってる場合じゃないってこと。そんなのただの言い訳じゃん。キャッチャーになれるチャンスを大事にしなきゃっ」
でも言い訳かもしれないけど悔しいんだよ、実力じゃないことが。
「それにさ、他の高校球児で試合に出場出来ない人だっているんだよ?それを考えたら…」
「もう、いい。…もういいよ」
俺は無意識に麻帆にそう言っていた。