秘密の鎖
「何、これ……」
莉沙の家で、私はテレビ画面を食い入るように見つめていた。
「ねねっ、夕月さんで間違いないよねーっ?」
莉沙は顔をほくほくさせて、リモコンを顔の横で握りしめて私を覗き込んできた。
「うん……確かに夕月さん、だと思うけど。待って。わけがわからない」
テレビ画面に流れているのはある塾のコマーシャルだ。
そのコマーシャルの塾の先生役で出ているのが……
「なんで夕月さん??」
莉沙はテレビを観ていてこのコマーシャルが流れると、夕月さんに気づいて素早く録画したらしい。
さすが。
もうさっきから何回も何回も巻き戻して観ているけど、何度見てもあれは夕月さんだ。
あの立ち居振る舞い、爽やかルックス……
莉沙は頬に手を当ててきゃーっと言いながら髪をぶんぶん揺らしている。
「テレビに映ってる夕月さんもカッコイイ!そりゃ本物には劣るけどっ」
私は言葉がでずにパクパクと口を動かしている。
―――本当に、なんで夕月さんがコマーシャル出てんの!!!