秘密の鎖

いきなり体が宙に浮いて、空が見えた。

腰と膝のうしろに感じる強い腕。


私…抱えられてる!


「ちょ、何すんですか!おろして!」


私は腕と足をバタバタさせて抵抗したけど、そんな抵抗はものともせずに私を助手席につめこんだ。

すばやくシートベルトをさせると
急いで運転席に乗り込み発車した。

降りる隙もない。


「これじゃほんとにゆーかいですよ、ケーサツに訴えます!」


「家まで送り届けるのに、どこが誘拐だっていうの?」


しれっとした顔でハンドルを握っている。

確かに。
私の家に行くんだから、何の問題もない。
全然ない。


「歩いて、帰れますから。おろして」


何かイライラした。


「もう乗ってるんだし。とまるのめんどくさいからダメだって」


完璧にこの人のペースだ。

何この人!

私が諦めて座席に深く座り直すと、満足したようだ。


「…で、話って何ですか」


もう降りる気はなかったのでそう切り出すと、男の人はああ、と言った。


「俺は君の兄です」



……え?俺?
兄?



「え!?どういうこと…ぶっ」


車が急ブレーキをかけて、私の体は大きく前に傾いた。


「はい、着いたよ。続きは明日、ちゃんと俺のとこに来たら話してあげる。じゃあ、明日迎えにくるから」


さっさと私を降ろすと、手をひらひらさせて車を発進させてしまった。



私は唖然とした。



あの人が私のお兄ちゃん………?






どういうこと!?




< 19 / 230 >

この作品をシェア

pagetop