【中編】ひとつの愛



「早く来いよ」



少し照れた表情で振り返った、碧君。


ぱぁぁぁっと一気に笑顔になったあたしは『うん♪』って走ってそばに行った。



碧君は、

偉そうだし、
冷たいし、
ハッキリ言うし、
笑ってくれなし。

だけど、本当は凄く凄く優しいんだ。



絶対、鈍臭いあたしを見捨てたりはしない。



あたしの事、好きになってくれなくてもいいから。

これ以上、迷惑はかけたくないな。


そう思うんだ。


我儘を言えば、
オブラートに包んで欲しいし、
優しくして欲しいし、
褒めて欲しいし、
笑って欲しいし。


だけど、


好きじゃなくてもいいから
嫌いにならないで欲しい。




この気持ちは……恋ですか?








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