キミがくれた光
「鈴音パパも黙ってると、結構渋いもんね」
一度だけ、家に来たときにお父さんに会ったことがあったっけ。
「もうオヤジだよ。アイツ…… でも、まだあっちは元気みたいだけど」
綾は、ケラケラ笑いながら私の腕を叩いた。
「鈴音も苦労してんねぇ。かわいそうに。早く大人になりたいよね」
綾の好きなところはここ。
私が、さりげなく愚痴を言うとちゃんとそれを理解してくれる。
同情っていうんじゃないんだけど、わかってくれるって感じ。
「早く大人になってひとりで生きていきたい」
教室の窓から見える景色は、現実を忘れさせてくれる。
都会のど真ん中にある学校なのに、教室からは山が見えて、その奥に広がる青い空が好きだった。
「鳥になりたい」
「出た~!!鈴音の不思議発言!!」