キミがくれた光



「あんな話って何?」



「ここがお前の居場所だぞって、俺言ったよな?」




拓登は、マンホールを指差して、ちょっと怒った顔をした。




「うん。言ったね」



「だろ?普通、次の日は絶対来るだろ?」




いじわるぶっても無駄。


拓登は飛びっきり優しいんだ。




「私、普通じゃないから」


「お前、ほんっとかわいくねぇよ!!」





私の前に座り込んだ拓登は、呆れたようにため息をついた。




どんよりした空を見上げた私。



拓登は私のおでこに手を乗せて、グイっとその顔を自分の方へ向けさせる。




「次の日、3時までここにいたんだから。俺……」





どうして、会ったばかりの他人がここまで私を心配してくれるんだろう。




一緒に暮らしている“家族”と呼ばれる人は、私をちっとも心配してくれないし、大事にもしてくれないのに。





「待ってたの?私のこと」




「そうじゃなくて!!何かあったのかなって思うだろーがよ!!」





私の前髪をぎゅっと掴んで、左右に顔を振る。






< 70 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop