To You
第1章-出会い-
「おっはよー」


最近、寝坊気味のオレ-和野宏樹-は、チャイムが鳴る5分前に教室に入る。

いつものようにほぼ全員が登校してる教室に、人一倍大きな声であいさつして入っていった。


心なしかいつもよりざわついてる気がする。


「宏樹!!お前今頃来たの?相変わらず遅いな」


神原遊がムダにテンションの高い声で話しかけてきた。

遊は、小学校は違ったけど、中1からずっと同じクラスで、同じ部活で、いつも一緒にいる。いわゆる親友ってやつ。



「おー、俺は低血圧なんだよー」


「てか、そんなことどーでもいいんだって!!
 今日うちのクラスに転校生くるらしいぜ」


「は!?まじで!?男?女?」


「お前なあ、男、女、ってなんかエロい。せめて男子、女子って言えよな」


遊につっこまれながら、宿題を提出する。
オレはわりと真面目に勉強するほう。

提出物とか宿題とかもちゃんと出す。
これで内申下がるのもイヤだし。



「で?どっちなの?」


「どっちだと思う?」


「早く言え!!」


「女子だってさー。なんか、女子が言うにはかわいい子だったらしいけど。
 ま、女同士のかわいいは信用できねーよ」


「だな」


オレも、別に転校生なんかに興味なかった。


中3の10月なんて微妙な時期に来る転校生なんて、どうせ大したことないだろうし。
公立高校に行きたい人が私立から来るとかそんなんじゃないの?



それよりも、今のオレは自分のことで精一杯なんだって。




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