キャッチ。


卒業式が始まった。


いつもはすぐに眠たくなる校長の話なのに、今日は何故か新鮮に感じた。


淡々と式は進み、卒業証書授与が始まった。



1人1人の名前が読み上げられる。




そして…


「真田冬馬。」


冬馬くんの名前が呼ばれたけど、当然ながら返事はない。



その瞬間だった。



パチパチパチ…



拍手が鳴り響いた。


誰がしているのかと思ったら…奏太くんと小雪ちゃんだった。


次第に拍手は大きくなっていく。

遂には参加者全員が拍手をする事になった。


誰も止める事なく、いつまでも鳴り響く拍手。これは冬馬くんがみんなに愛されていたという証拠だ。



しばらくして拍手がやみ、先生は再び生徒の名前を呼んでいった。







「宮田大輔。」

大ちゃんだ…。


「はい!!」


誰よりも大きい声で返事をした大ちゃん。


恥ずかしくないの?とか思いつつあたしは大ちゃんを誇らしげに見つめてた。









「遠藤美咲。」

あたしだ…。


「はい!!」


気付いたら大ちゃんに負けないくらい大きい声を出していた。


恥ずかし〜…








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