惚れたもん負け 【 短編 】
『武元君、帰ろう』
隣の席に声をかけると
『・・翔太。』
『えっ?』
『名字じゃなくて名前』
『・・・・・』
もしかして名前で呼べって言って・・いる・・の?
『・・翔・・太君?』
名前を呼んだ瞬間にまた胸がドキドキと五月蝿い位になりだし、思わず目を逸らしてしまった。
『俺も名前で呼ぶから』
席を立った武元君はもちろん私より数段背が高くて。
だけど、ふと見上げて武元君を見たら嬉しそうにした顔をしていて、私の心もふわっと暖かい風が吹き込んだように嬉しくなったんだ―――