修学旅行★幼なじみと甘いキス
「! 直哉くん…」


名前を呼ばれたことに足が止まり、後ろを振り返る。


すると目の前では椅子からガタッと立ち上がった直哉くんが、わたしの手を握ったまま止まっていて


ビックリして目を開けるわたしに
直哉くんはすぐさまその手を離したかと思うと、何かを決心したようにこう言った。



「アドレス、聞いていいかな」

「え…」

「今までずっと聞けなかったから」




あ……



“…気になってたんだ。
中3んとき、同じ予備校で高橋さん見かけた時から、ずっと”



「うん。いいよ…」



この時ふと、さっき直哉くんが最初に言ってたことを思い出して、わたしはコクンと頷く。



…急にマジメな顔をして言われたから、ビックリしたけど

でも同じクラスの人とメアドを交換するくらい
別に普通のこと、だよね…?


それに直哉くんはわたしと一緒の班だし、断る理由なんてない…。


そう思って、わたしもポケットから自分のケータイを取り出して開くと、直哉くんの前に近づける。



“―おまえ、男に声かけられたくらいで、シッポ振って喜んでんな”



この時なぜか一瞬、翔の言葉が頭をよぎったけど


わざと気づかないふりをした。
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