修学旅行★幼なじみと甘いキス
「根は決して悪い子じゃないと思うの。
ただちょっと気持ちの伝え方が人より下手ね、彼」

「……」

「…あの子は昔のあたしとよく似ているから分かるんだけど
一度お互い本音でちゃんとぶつかり合ってようやく分かり合えたなら、もう大丈夫。
幼なじみのアナタのこと、
きっとすごく大事にしてくれるはずよ」


思いもがけない春野先生からの言葉に、わたしは「!」と俯いていた顔をあげる。

そのまま一気にほっぺが熱くなり、耳まで赤くしてすっかり照れを隠せずにいると
春野先生はどこか茶化すようにこう言った。


「……なーんて。
似ているあたしがエラそうに言うなって話?」


先生のとっさの冗談にも、自然と笑みがこぼれる。

そのまま一人クスクスと笑っていると
春野先生は時計に目をやるなり、すぐさまサッと背を向けた。


「さてと。あたしはもう行かないと」

「あっ…待ってください先生!」

「まだ何かー?」

「さっきは、ありがとうございました。その…、色々と気遣っていてくれて」


言葉はぎこちないながらも
はっきりとお礼を口にしたわたしに、春野先生の動きがピタリと止まる。


そしてしばらくの間、ひとり黙りこんでいたかと思うと
突然――クルッとこっちを振り返り
何やら意味を含んだような目をしてフッと笑った。
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