【完】アニキ、ときどきキス
「遥!!」


扉が開いたそこにいたのは、血相を変えた新君の姿だった。


表情だけじゃない。
私は見たこともない新君の姿に驚きを隠せなかった。


光沢のある銀色のスーツ。
尖ったピカピカの靴。


この格好って・・・・・・


「え?北原さん?
どうしてここに」


部屋の奥に私の姿を見つけた新君はとても驚いていた。


「あの・・・保護者が迎えに来られないからって、私が代わりに遥を迎えにいってたの」


私は慌てて立ち上がり、新君の側に駆け寄った。


新君に近づくと、部屋に入った時に香った香水の香りと、そして・・・それに混じってお酒の匂いがした。


「お酒・・・飲んでるの?」


私は新君を見上げた。

新君はばつが悪そうに顔を背け、玄関の外へ体をどけた。


「遥を迎えに行ってくれてありがとう。
あとは俺たち二人で話すから。
・・・・・・帰って」



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