【完】アニキ、ときどきキス

名刺の住所は鍛冶町と言われる地元でも有名な町。

夜のお店がひしめきあう飲屋街だった。


信じたくないけど、きっとそう。

新君はホストで働いている。

店の場所も分からない私は名刺を持ちながらキョロキョロと辺りを見回す。


「おねーいさん！何してんの？」


「っきゃあ！」


私は突然背後から、肩を組まれた。


「ホ、スト・・・・・・？」


「ん。そうだけど？」


鼻ピアスに明るい茶髪。
タイトなスーツ。
やっぱりそうか。


「その名刺。うちのだよね？
シンさんのお客さん？」


「う、ん。
まあそういう感じです」


「じゃあ、一緒に行こうよ。
俺セイメイって言います！
ヨロシク」


「は、はあ」

セイメイと名乗ったそのホストは私に向かってウインクを投げる。

ホスト姿の新君を見るのが怖くなってきた。