君の詩を聴かせて



「そう言えば編入生はー?」

「購買行ったんじゃね?
 …あ、帰ってきた。
 あの真ん中の子だよ」

「おお…清楚系…」


 葵につられて視線を向ける。


「――…」


 …視線が、逸らせない。

 どうして、その制服。

 編入生が視線を逸らして、俺を視界に入れる。

 視線が交わったまま、あっちも固まった。

 そして…笑う。

 どくり、心臓が大きく鳴った。


「どうして…ここに、」


 声が掠れた。

 それでも聞き取れたのか、歩み寄ってくる。


「ちょっと、ね…。
 久しぶりだね、大和」

「っ…ごめん葵、戻る」

「え、大和?」


 横を通るとき、苺の香りがした。

 なんでなんでなんで

 どうして、ここにいるんだよ。


「っ…、」

「っ…大和、」


 人にぶつかって…それは、琉愛で。

 勢いのまま、琉愛を抱き締めた。


「…大和?」

「なんで…っ」



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