君の詩を聴かせて



―ブーブー ブーブー

 ポケットに入れていたケータイが鳴り出した。

 手を止めて電話に出る。


「もしもし?」

『もしもし、大和?
 梨乃知らない?』

「ああ…ここにいるけど」


 母さんと喋りながら梨乃を見る。

 途中で遮られたからか、またご機嫌ナナメだ。


「うん、うん、わかった。
 じゃあ今から帰るよ、はーい」


 通話を終えて片付けを始める。


「もう終わり?」

「母さんが早く帰ってこいって。
 一緒に帰ろう」

「……うん」


 左手を差し出すと、小さな右手が握り締めてくる。

 やっぱり、まだ小学生だなぁ。

 小降りになってきた中を2人で手を繋いで帰った。

 改札を抜けた、白を纏う少女に気が付かずに。







 カウンドダウンは…もう、終わった。





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