ヒレン
「え?……あ。離島での診療所も軌道に乗りはじめましたって」



「大学辞めて、離島医療に?」



「私たちが卒業してすぐだったかな?幸せそうで良かった」



「へー」



コーヒーに口をつけると、初めて会話した日のことが思い出されてくる。



もし…なんて言葉は要らない。



この現在(いま)に後悔はない。



「夏休み、取れたら行こうか?」



「はい!」




この夏、愛しい人に会いに行こうと思います。





診察室に戻り、僅かな時間、用意した手紙に舞子はそう返事を書いた。









~Fin~


< 168 / 170 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop