ヒレン

Kalte ~風邪~

扉の外は激しく雨が打ち付けていた。


「ひどいですね」


「……うん」


「先輩」


智子の額に冷たい手の温度が触れる。


「熱ありますね」


「よく気付いたね。一昨日まで和くんがひいていたからうつっちゃって」



言葉の後に咳が続く


「呼吸がいつもより、速かったので」


「そんなとこ見られてたんだ」


急な夕立のせいか、何人かの学生が扉の外で雨宿りをしていた。


「傘、持っている?」


「持ってますけど」


「途中まででいいからいれてくれない?」


「いいですよ。送ります」


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