アナタダケ。
何だか家に帰りたくなかったから近くの公園に行くことにした。
「ブランコに座るの久しぶりだ……よっと」
足を前後に動かすと
幼い頃の感覚が戻ってくる。
勢いよくこげば少し肌寒い夜風が体に当たって気持ちいい。
「そろそろ帰らなきゃかな」
ブランコから降りた私の足元は、強くこぎすぎたのかフラフラしている。
とりあえず帰ろうとした私の耳に、
怒声や骨が折れるような
なんとも形容しがたい嫌な音が聞こえてきた。
音の大きさから言って
この公園内なのは間違いない。
恐怖よりも興味の方が大きかった私は、その音がする方へと近づいていった。