王様ゲーム
家政婦の苦悩?
私の前に並べられた
いくつもの反物。

昔から着物が好きだったけど、
普通の生活で着る機会もないし、
ましてや子供がいればなおさら。


何人かの呉服屋の店員さんが
手際よく私の寸法をはかる。


「お好きな柄をお選びください」

と言われても……


「毎日着られるということ
でしたので、最低でも10着は
あったほうがよろしいかと…」

店主らしきおじさんはホクホク顔。


『え、10着?!』


「まぁ、そうRyusey様から
言われておりますので。」

そういわれると言葉がなかった。

だいたい何考えてるんだよ、あの
傲慢な王様はさ!
家政婦が綺麗な着物着て家事する
なんて聞いたことないわっ!
アホか!

まぁ着物は嬉しいけど、
絶対なんか裏があるな。

おいしい話は怪しいもん。

あぁ、素直に喜べない
自分が悲しい。


「では、すぐに作りはじめます。
既成の品をいくつか
置いていきますので、
それまでお使いください。
では失礼します。」


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