刀人―巡りめく戦乱の中で―
序章

―失―

私の国は、先日戦で敗戦を喫した。

滅びた国はその国の配下となることに加え、戦利品を献上しなければならないというのがこの世の習わしである。



明日、私は自国である須江長の国を発つ。

白無垢に身を包み、好きでもない男の元へと嫁ぐのだ。

それも、相手の国は多大な権力を持つ巨大な国。

敵国であった、瑞湖の国を収める四十万洸雅<シジマコウガ>には既に多くの側室と一人の正室がいると聞く。
そんな場所に小国の姫が一人側室として嫁いだ所で、何が変わる訳でもない。


ただ、一つの国を落としたという証として婚姻の儀を結ぶのだ。


そんな瑞湖の国だが、元を辿れば瑞湖と隣国が合併して経緯があり当時は今ほど勢力を持った大きな国ではなかった。

だが徐々にその頭角を現し、実権が四十万の若い当主、四十万洸雅に変わったことで一段と強国になったと噂で聞く。










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