ワタシの隣り
「…華、彩華。」



私の名前を呼ぶ声が聞こえる

目がなかなか開かなくて顔が見えない

誰

…泰輔?



「泰輔?」



そう言った瞬間、目の前の顔の表情が少し歪んだ気がした



「…充。」



ハッキリと名前を呼ぶ声の顔が見えた。



「私…寝てた?」

「ぐっすり。」

「…車ってなんか眠くなるんだよね。」

「てかちょっと外出てみ。」

「嫌だ…」

「いーから。誰もいないから。」



助手席のドアを開けられ、私はしぶしぶ外に出た


そして目にうつったものは


「…海?」



青い海

ここ…

来た事ある



「運転まじ疲れた」



そんな事充は知らないだろう

きっと私を元気づける為にここに連れて来たんだろう

だから

それを思うとなんとなく
『泰輔と来た事がある』
とは言い出せなかった


でも…

身体は正直で

涙が止まらなかった


何故か切なくて

悲しくて

苦しくて
< 8 / 15 >

この作品をシェア

pagetop