白は花嫁の色
「あのすいません」
異星人と遭遇したかのようなキョトン顔の女三人組は、俺を見るなり無言で目を配る。
無理もない、こっちはビジネス街に馴染まない子供なのだ。スーツなんて似合いもしない。
けれど怯む時間なんてないのだ。そうこうしている間に姉ちゃんは――…
「あの、結城の、社長の息子って婚約したんっすよね?どこに住んでるんですか?教えて下さい」
今度は明らかに不審がった意を込めた六つの瞳を向けられた。
教えて欲しいだけなんだ。質問は簡単ではないか。住所を教えてくれるだけで良いんだ。
返事すらしてくれない様子に腹が立つ。
だったらなんて聞けば良い。俺が婚約者の弟だと言っても、誰も本当の事を言ってくれやしないのだろう。
たくさんの人が働いていて、そんな大きな会社の社長の子供…
お金持ちの人間なんて、何だって持ってるんだろう?
お願いだから姉ちゃんまで欲しがらないでくれ…姉ちゃんは平凡な子なんだから取らないでくれ。
それとも世界を相手にする結城だ、あんたはなんでも手に入れないと気が済まないのか。
あんたが手に入れたことで、俺は宝物を手放したんだ。いや、奪われたんだ。
――お金持ちなんて俺の気持ちなんか考えてくれないんだな。
ひどいじゃないか。企業イメージダウンだ。倒産すれば良い。
…どうしたらいいんだ。
睨み過ぎていたらしく、三人組に交わされてしまい、建物を睨むしかできないなんて―――