白は花嫁の色
「雅、ごめん、試合。せっかく約束したのに。
お姉ちゃんいつも雅に甘えちゃうじゃんか、分かってるんだけど。我慢ばかりさせて。姉スキルが足りないね、ふふ」
――ああ、やっぱりだ。いじけていたのがバレていた。
ぎゅっと握った手を、力を抜いたり込めたりを繰り返す。
これは姉ちゃんの癖。何か不安な時に姉ちゃんがする癖。
――俺が悲しんでいないかを気にかけてくれる柔らかな手。
幸せ者だな。
なんて幸せ者なんだ。
こうして優しさにいつも包まれているんだから。
木漏れ日がキラキラと落ちて余計に白い肌になり――
「な、姉ちゃん?」
瞳の端に茜が歩き回る様子を映しながら、口を開いた。
「私にしてよ」
「……へ?」
「姉ちゃんはいつも姉ちゃんだ。私って言う忍が居ないじゃん」
いつも長女だからと我慢して自分を犠牲にして、姉ちゃんはせっかくの“忍”の時がないから。
俺の前くらいでは忍で居てほしい。一人の女で居てほしい。
勿論、俺が早く王子様になれたら、いつでも忍で居させてあげるつもりだけれど。
だから少し寒いが、そう言った。控えめな口説き文句のつもりだ。