不器用なカノジョ。





「…こんなこと言ったら堤くん…っていうか健に怒られそうだけど」


あれ?ひろ、教えてくれるんだ。

俺の質問の応え。



「正直、付き合う前も付き合ったときも、付き合ってからも。

健のこと…すごく、好きだったワケじゃないの」


…おお、最初からとんでもない告白から始まるんだな。


「だから、健とは別れようって思った」


…あれ?

…あれ?

まさか、これだけ?


少しの間、黙ってひろの言葉を待ったけど。

一向に喋りだす気配のないひろ。



「…ひろ?」


「ん?」


「話、終わった?」


「え、うん。終わった」


「…短くない?」


苦笑いで俺はひろを見た。

そうするとひろとバッチリ目が合って。


後夜祭が始まって初めて俺とひろの視線が交わった。









< 173 / 235 >

この作品をシェア

pagetop