私を愛して

 「おや?」

 「??」

セルダは家出娘のいる、洗面所の扉を見つめた。

なんだ・・・?



 「あ!」


あいつ!!


服挟まってる!

 セルダはこっちを向き、ニヤッと妖しく笑った。

…俺はセルダのこういう笑みが嫌いだ。
 「お楽しみが終わったところだったかな?あ、それとも今から?熱いなぁ」

 「バッ…バカ言え!夢は寝てから見ろ!クソが!」

顔が真っ赤だぞやっと童貞卒業か とセルダに言われ、
俺は中指を立てた。

ムカつく!なんでこう俺をいじめるんだ。

 「おい、小娘。そんな見られたくないなら俺が隠すから
いったんあけて服とれ」

 「・・・」

そういいながらドアをノックする
カチャッと開いた扉の向こうに彼女は顔を赤くしていた。


 「すみません」


俺だけに聞こえる声で彼女は囁くと、服をとり、パタンと扉を閉めた。



可愛い…




 「って…」



何思ってんだ。

俺。


ふざけてるじゃん。



俺は頭を抱えて
振り返る。


 「うわっち!」

目の前にある、セルダの顔。


びっくりした…



 「レディ、大丈夫ですよ。すぐ帰りますから」



セルダは俺を押しのけ、小娘のいる扉をノックした。

 「なんだよ」

 「あ。お前の仮家を借りたいんだ。できたら3週間ほど」

仮家…?



 「ああ!俺のもう一つの家!3町目の!」

 「そうだ」





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