私を愛して


 「っあ…!」

口を手で塞ぐ彼は真っ赤になって目をそらす。
そして、私にしか聞こえないくらい小さな声でつぶやく。



 「…スキ…なんだよ。お前が」


スキ?

一瞬、理解できなかった。
私のことを、パンプが?
あんなに怒鳴ってたあなたが?


スキって…


 「本当……に…?」

 「ん」

 「あ、…夢みたい…」

私も好き。



 「…え…?」

 「夢みたいよ…私の勝手な片思いだと…」

 「…バカやろっ…」

 「つきあってくれる…?」

 「ふっ…おまえみたいなやつの恋人になるやつは、俺以外いねーよ」




私は笑った。

だってパンプの顔、へんだったんだもの。

自分から告白してきたのに、なんて顔。


 「…もう一つ何か買いましょうよ」

なんだか急に気持ちが晴れてきて


思わずでた言葉だった。


 「いいよ?」

 「…じゃあ、これ」

ハートを持ったペンギン


いかにも女の子っぽいかな…


 「いいよ」

パンプはそれを二つ籠に入れるとレジに持っていった





 「そこで待っといて」

 「ええ」




私ー・・・



本当にこんな幸せでいいのかしら。


私は王国の王女。

もう結婚を控えた身なのに…


今ではもう
そのへんに国の警備員が…いるんだろうな。

……?!

私は目をみはった。

やばい…

本当に警備員いる…

なんでここにいる事が分かったの?!




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