名探偵はどこにもいない
「ったく。あいつは、忘れ物ばっかりだな。」

「今に始まったことじゃないじゃない。」

女はそういうと自分の立ち位置である崖の方へ歩いていった。

「あっ!ゆみ。私の鏡持ってきてくれない?」

「えっ、あ、うん。」

ゆみと呼ばれた少女は、他の仲間より離れた所で座っていた。
彼女のカバンを開けると、見た目以上にたくさんの物が入っている。
その中からなんとか鏡を探し、渡しに行った。

「これでよかったかな。」

不安そうにそっと差し出す。

「遅いわね。さっさとしてよ!」

彼女は奪う様に鏡を受け取った。
そのはずみで、ゆみが体勢をくずす。

「あっ!」

次の瞬間、ゆみは崖下に吸い込まれる様に落ちていく。
声にならない悲鳴をあげながら…

男はあわてて崖下を覗き込む。

「ど…どうすんだよ。エリカ。」

「ゆみ…ゆみ…」

「な…なによ。私が悪いっていうの?違うわ。…そう、事故よ。ゆみは足を滑らせただけなんだから…」

「そ…そうだ!この携帯をその崖の所に置いて、これを取ろうとして…」

「そう、そうだわ。あの娘の不注意よ!」

「あぁ、お前もわかったな。」

「あ…あぁ、事故だ。そういうことだな。」

「…ゆみ…」

一人放心したままの少女をよそに、3人は事件を偽装する事を決めた。


その後、この事は事故として処理された。
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