ふわふわ

「…何よ」

やはりテレビにしか向けられていなかった、視線

「私をうっとりさせといて、自分はテレビに夢中なのね」

なんとなく、テレビに向いているのは視線だけで、本当は心は私の方を向いているのをわかっていたけれど



『暖房を消そっか』

確かに少し暑かった。おかげで頬があつく、おそらく赤い。

『なんか蒔、暑そうだから』

「うん」

うん。
榊の心はやっぱり私の方を向いていた。私がちょっとだけ暑いということに、私より先に気がついたように

『テレビも区切りがいいし、夜の散歩とか行かない?』

「行く」

すずちゃんも抱いていく。


散歩に行けば、また頬が、体が冷たくなる

わかっていたけれど、長い時間歩きたいと思った


帰ったら一緒にお風呂に入ろう。

そしてお互いのふわふわな髪を濡らして、2人のお揃いを作ろう。すずちゃんは入らないから。


『本当にすずにそっくりだけど』

外は今の私に丁度いい。街灯もなんだか綺麗にみえる。

『蒔は恋人なんだよね』

「…当たり前でしょ」

少し暗い色になった3つのふわふわ

お揃いのふわふわ
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