王子様は寮長様


目を覚ますと時間は昼の12時をさしていた。


寝過ぎた……。


シャワーを浴びてスッキリすると、多少は気持ちも落ち着いてきた。



ピンポーン。



髪の毛を乾かし終えたちょうどその時、インターホンが鳴る。


誰だろう…。

相馬先輩だったらまだ会う勇気はないけど……。



モニターを見てみると、そこには奈緒先輩が立っていた。





「ごめんねぇ、突然。体調は大丈夫なの?」

「はい。昨日はごめんなさい。先に帰っちゃって…。」



私は奈緒先輩が持って来てくれたお土産のプリンと紅茶を出した。



「いいのよ。始業式にも来ていなかったからちょっと様子見にきただけだし。でもだいぶ元気そうで良かった。」



奈緒先輩は優しく笑う。

多分、奈緒先輩は私がただ具合が悪いってだけではないことに気が付いている。


でも、無理に聞きだそうとはしなかった。


ありがとう、ごめんね、奈緒先輩…。


言いたいけど…言えないよ……。



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