王子様は寮長様
先輩とこの寮長室で過ごすこともなくなる。
なんだか、とっても……
「なんで九条が泣くんだよ」
淋しくて思わず涙が出てきた私を先輩は呆れたように見ている。
「だって…淋しくて…」
「だからって泣くなよ」
相馬先輩は手で涙を拭ってくれた。
「会いに来るから。」
「外部の人は入れないよ…。」
「じゃぁ、九条が一緒に実家にくるか?」
先輩の言葉に顔を上げる
先輩と一緒に住むってこと?
でも……
「わかってる。憧れの皐月寮でちゃんと卒業しろよ。」
先輩…。
「はい。」
それに、と先輩は続ける
「卒業しても、俺は元寮長だから。」
「?はい。」
先輩はニヤッと笑い、顔を私の耳元に近付ける。
そして甘く囁いた。
「寮長の命令は絶対だ。卒業してもね。」
せ、先輩…?