*扉*

∟1章

じめっとした暑さ。

太陽が容赦なく僕を照らし続ける。

砂漠の昼間は、地獄の様だった。

僕は砂漠の中心周辺を重い足取りで、歩いていた。

次の街は、まだ、遠い…。









僕には、名前が無い。

何故なら、自分で捨てたからだ。

強いて言うなら、

闇に近い、人間。すなわち、〝闇〟

僕は自分自身が大嫌いだった。

小さい頃、僕は両親に捨てられた。

何をやらせても上手く出来ない。期待に応えられない。


僕は、いつの日か人を信じられなくなった。

心が闇に飲み込まれて、

苦しい毎日を送っていたんだ。


でも、でも。

僕が旅に出る…、そのきっかけが2年前にできた。

そう。

アレは吹雪の激しい真夜中だった…。










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