武士道絵巻

第三章



それから、幾年がすぎ。


りくは立派な青年になった。






はぁ、はぁ……


とある森の中。


りくは逃げていた。



(くそ、血を流しすぎた……)


脇腹は血で真っ赤に染まっていた。


「追えー!!必ず捕らえろー!」


後ろからは、大勢の追っ手が来ている。


はぁ、はぁ



ざっ、ざっ



息づかいと足音が静かな森の中に響いた。



ざっ、ざっ……


ズサー………


「!!?」

りくの視界が一気に低くなった。


「消えたぞ!」

「くっそ!!」


上から声が聞こえた。



どんっと言う、強い衝撃がきたと同時に自分が、崖から落ちたと分かった。



「うっ……!」

全身に痛みがくる。


りくは、そこで意識を手放した。
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