私は嘘で出来ている。
そう言って軽く机を叩いて立ち上がった。


この話は終わり、の合図だった。


「さて、晩御飯作ってあげる。市河さんも食べて行ってね」


「すみません。用事があるので、これで失礼します」


「そう?残念」


水入らずの邪魔をしてはいけないと思った。


というのは建前で、なんだか逃げ出したかった。


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