私は嘘で出来ている。
「ご指名ありがとうございます、新菜です」


新菜ちゃんは挨拶すると、私に目配せをして、お客様を案内しに行った。


暫くすると、ママが新菜のテーブルの挨拶から帰ってきた。


「どうだった?」


「大丈夫、アキラもヘルプに付いてくれてるし、盛り上がってるわ」


テーブルの方を見ると、新菜ちゃんは必死だったが、とても嬉しそうに接客していた。


そこには、もう有本君は見えなかった。


ふいに、胸がざわめいた。


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