はつ恋
「でも俺は真剣だったし、亜子を好きという気持ちを押さえる事が出来なくて、彼女に別れを言ったら、いきなりキスされ驚いたよ。」


「彼女とはそれからは?」


「会ってはいないよ。会いたくもなかったしね。」


「私はまだあの時子供だったから、佳祐が好きだなんて分からなかったの。でも胸が苦しくてこれが恋?私の初恋だと気づいた。」


「俺に会いたくなかった?」

「会いたかったよ。会いたくて佳祐の家に行ったけど、いつも留守でそのうち佳祐が東京の大学に行ったと聞いたから、もう二度と会えないと思った。」


「俺も何回も亜子に会いに行ったけど、会えなかった。俺ももう会えないと思っていたよ。」


「でも私たち出会えたんだよね。こうなる運命だったんだよね。」


「ああそうだね。」


佳祐が後ろから抱き締めてくれた。


佳祐の腕は暖かくて、二人だけの幸せを感じていた。


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